——暮らしの自己満足 第7話
カーテンは、いつから量販店で買うものになったのだろう。
ホームセンター、家具量販店、ネットショップ。
手軽に、安く、すぐ買える。
それ自体は悪いことじゃない。
でも、一つだけ知っておいてほしいことがある。
新築2年で、すべてのレースがボロボロだった
2年前に新築されたお客様から、連絡が来た。
「家中のレースカーテンを、全部替えたい」。
2年。
カーテンは通常、10年は持つものだと思っている。
おかしい、と思いながら伺った。
真新しい家だった。
壁も、床も、設備も、まだ新しい。
なのに、どの窓のレースカーテンも、縦に裂けてボロボロだった。
全部の窓が、同じ状態だった。
「とある量販店でオーダーして作ってもらったのに、なぜ?」。
お客様は首をかしげていた。
自分には、理由がわかった。
安いカーテンに隠された秘密
カーテンは、布製品の中で特殊な存在だ。
窓に吊るされ、毎日直射日光にさらされる。
日に焼ける唯一の布製品と言っていい。
だから、国内の信頼できるカーテンメーカーは、自社で耐光試験の基準を持っている。
何時間の日光に当てても色が褪せないか。何年使っても生地が劣化しないか。
それを自社基準で管理している。
当然、生地のコストは高くなる。
ファブリック製品の中でも、カーテン生地はかなり高い部類に入る。
ここに、抜け道がある。
この耐光基準は、法律で定められていない。
中国でアパレル生地と同じクオリティのカーテン生地を作ると、国内メーカーの3分の1ほどの単価になる。
耐久性はもちろん、染料も別物だ。
国内メーカーが安定した染料を使うのに対し、安い化学染料は体への影響も否定できない。
でも、それを規制する法律はカーテンには適用されない。
量販店はそれを「オリジナルオーダーカーテン」と呼ぶ。
新築2年でボロボロになったレースの正体は、これだった。
否定したいわけじゃない
はっきり言っておく。
量販店のカーテンを否定したいわけじゃない。
価格は大事だ。
気軽にインテリアに触れてもらえる、という側面もある。
それは本当のことだと思っている。
ただ、自分は田舎で商売をしている。
販売したら終わり、ではいられない。
2年後も、5年後も、同じ地域でお客様と顔を合わせる。
「あのカーテン、すぐダメになった」と言われたくない。
それ以上に、そんなものを売りたくない。
何が使われていて、どのくらい持つかわからないものは、売らない。
だから、既製品や安いオーダーカーテンはやめた。
近隣の量販店にお任せすることに決めた。
1箇所だけでも、喜んで
「高いお店」と言われることがある。
そうかもしれない。
でも、こう思っている。
1箇所だけレースを変えたい。
1枚だけカーテンを作りたい。
そう言われても、喜んで計りに行く。
小さな仕事を丁寧にやること。
それが、サロンテリア大林がこの地域になくてはならない理由になると思っているから。
50年、この地域でやってきた。
これからも、この地域でやっていく。
売った後も、責任を持つ。それだけが、自分たちの武器だ。
まず、一つだけ。
今使っているカーテンを、触ってみてほしい。
生地の質感、厚み、透け感。
「なんとなく選んだ」なら、一度だけ専門店に相談してみてほしい。
窓の大きさ、日当たり、部屋の使い方。
それを聞いた上で選ぶカーテンは、量販店のものとは別物になる。
次回予告
第8話「父は何も教えてくれなかった——それがサロンテリア大林の50年だった」
——輸入カーペットの行商から始まった家業の話と、27歳で承継した日のこと。
このブログでは、50年続くインテリア専門会社の代表が「好きを引き出すインテリア」の全てを公開していきます。
「暮らしの自己満足」が気になる方は、ぜひ続きも読んでみてください。
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