——趣味コーヒーのすすめ 第3話
豆が8割。 それがわかってから、淹れ方を学ぼうとした。
ブログを読んだ。YouTubeを見た。本を買った。 本屋に行くたびにコーヒーの棚を探して、片っ端から集めた。
読めば読むほど、わからなくなった。
全員、おそらくその道のプロだ。 なのに、言うことが違う。
お湯の温度だけで、もう意見が割れる
「お湯は90度がベスト」と書いてあるブログがある。 「85度じゃないと雑味が出る」と言うYouTuberがいる。 「沸騰したてを注いで大丈夫」と本に書いてある。
お湯の温度だけで、もう3つの正解がある。
蒸らし時間もそうだ。「30秒が基本」「20秒で十分」「1分待て」。 注ぎ方もそうだ。「の」の字を描く。中心だけに注ぐ。全体にまんべんなく。
一つの工程ごとに、正解が複数ある。 しかもどれも、理由がちゃんとある。
読めば読むほど混乱した。 誰の言うことを信じればいいのか、わからなくなった。
美味しいゾーンの「どこ」を狙うか
ある日、ふと気づいた。
プロの言うことが違うのは、プロが間違っているからじゃない。 人によってコーヒーの「美味しい」が違うからだ。
第2話で書いた「美味しいゾーン」。その中にも幅がある。 酸味寄りの場所もあれば、苦味寄りの場所もある。甘みが立つポイントもある。
そのどの辺を出したいかが、レシピの考え方になる。
お湯の温度、挽き目、蒸らし時間、注ぐスピード。全部が味に影響する。 さらに豆の種類や焙煎度合いによっても最適な条件が変わる。
ここに「人の好み」を混ぜると、組み合わせは無限になる。
プロの言うことが全員違う。その正体が、これだった。
コーヒーは、たぶんプラシーボ効果が最も高い飲食物だと思う。 「この豆は高いから美味しいはず」と思って飲むと、美味しく感じる。 「この淹れ方が正解だ」と信じて淹れると、満足する。
それでいい。 正解がないから面白い。 自分の「美味しい」を探す遊びだ。
読めば読むほどわからなくなった理由が、やっとわかった。
まず、一つだけ。 いつもと同じ豆で、お湯の温度だけ変えてみてほしい。 いつもより5度下げる。それだけでいい。
同じ豆なのに、違う味になる。 「あ、変わった」と感じた瞬間、趣味コーヒーが始まる。
次回予告 第4話「バリスタへの敬意と、趣味コーヒーの誕生」 ——バリスタは毎回同じ味を出す人。僕がやりたかったのは、毎回違う味を楽しむことだった。
このブログでは、コーヒーの素人がWEBとAIとコーヒー屋さん巡りで独自のメソッドを作り上げた全過程を公開していきます。 「趣味コーヒー」が気になる方は、ぜひ続きも読んでみてください。
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