——趣味コーヒーのすすめ 第4話
コーヒーの「美味しい」は人によって違う。 正解がない。
それがわかった時、二つの道が見えた。
一つは、プロの道。 もう一つは、僕の道だった。
バリスタという仕事
一つ、はっきり言っておきたいことがある。
僕はバリスタを軽く見ているわけじゃない。 なんなら、僕が誰よりも尊敬していると思う。
「美味しいコーヒーを淹れる」。 言葉にすると簡単だ。でもバリスタの仕事は、そんな抽象的な話じゃない。
その日の気温。湿度。豆の状態。 それによってレシピを変えながら、いつでも同じ味のコーヒーを淹れる。 それがバリスタだ。
毎年、バリスタのチャンピオンシップがある。 日本中から、世界中から、腕を競い合うプロたちが集まる。 抽出の技術、プレゼンテーション、味の再現性。すべてが審査される。
あの世界は、本当にすごい。
でも。
僕は「いつも同じ味」じゃなくていい。
趣味コーヒーと名づけた
バリスタは毎回同じ味を出す人だ。 お客様がいつ来ても、期待通りの一杯を提供する。それがプロの仕事だ。
僕がやりたいのは、違うことだった。
コーヒー屋さんを巡る。面白い豆を探す。自分で淹れる。 ちょっと濃いめに淹れてみたり、ちょっと酸味が出る淹れ方を試したり。 その日の気分でレシピをいじったり、YouTubeで見かけたレシピを試してみたり。
毎回違っていい。 むしろ、毎回違うのが楽しい。
これを、**「趣味コーヒー」**と名づけた。
趣味コーヒーに、正解はない。 プロになる必要もない。誰かと同じ味を目指す必要もない。 自分の「美味しい」を、自分で探す。 今日の気分で、今日の一杯を淹れる。
それだけでいい。
スタッフとの淹れ合いが、実験場だった
趣味コーヒーの最初の実験場は、SATORYの店内だった。
バリスタのスタッフ。元スタバのスタッフ。そしてコーヒーの素人の僕。 同じ豆で、それぞれが淹れる。温度を変える。挽き目を変える。注ぎ方を変える。
「今日のは酸味が強いですね」。 「こっちの方がまろやかじゃないですか?」。 「店長、お湯の温度高すぎません?」。
毎日が実験だった。
面白かったのは、プロの経験を持つスタッフと素人の僕で、好みが違うことだ。 スタッフは技術で味をコントロールしようとする。 僕は「なんか今日のええやん」で満足する。
どっちが正解でもない。それがコーヒーだ。
AIにも聞いた。「この豆を中煎りで淹れる時、お湯の温度は何度がいい?」 AIの回答は毎回丁寧で、理論的だった。 でもやっぱり、飲んでみないとわからない。
ただしAIには一つ大きなメリットがあった。 「なぜそうなるのか」を、いつでも何度でも説明してくれる。 理由がわかると応用が効く。次に違う豆を買った時、自分でレシピを考えられるようになる。
正解がないなら、自分の好きを信じればいい。
これはコーヒーだけの話じゃない。 インテリアも、スープカレーも、全部同じだ。
まず、一つだけ。 明日の朝、いつもと同じコーヒーを淹れてみてほしい。 ただし一つだけ、何かを変える。挽き目でも、お湯の量でも、蒸らし時間でもいい。
変えた結果が美味しくても、美味しくなくても。 「変えてみた」という事実が、趣味コーヒーの第一歩だ。
次回予告 第5話「沼の入り口はTIMEMOREだった」 ——コーヒーミルには文化と歴史がある。その「当たり前」を疑ったブランドに出会って、すべてが変わった。
このブログでは、コーヒーの素人がWEBとAIとコーヒー屋さん巡りで独自のメソッドを作り上げた全過程を公開していきます。 「趣味コーヒー」が気になる方は、ぜひ続きも読んでみてください。
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