——暮らしの自己満足 第6話
「シンプルがいいんです。でも、少しだけオシャレになりたくて」。
よく聞く言葉だ。
シンプルでいい。でも何か物足りない。
そのどちらも本音だと思う。
そういう方に、まず一つだけ提案することがある。
天井のトーンを、少し落としてみませんか。
スタバの天井が、黒い理由
「天井を暗くするなんて、部屋が暗くなる」。
そう思うのは当然だ。
でも、考えてみてほしい。
スターバックスの天井は、基本的に黒い。
あの空間を「暗い」と感じる人は少ない。
むしろ「落ち着く」「居心地がいい」と感じる人がほとんどだ。
やりすぎなければ、「暗い」と「落ち着く」はほぼ同じだ。
天井のトーンを落とすと、空間に奥行きが出る。
視線が自然に水平になり、部屋が広く感じる。
照明の光が映えて、全体がぐっと締まる。
壁を変えなくていい。家具を買い替えなくていい。
天井だけで、部屋の印象は変わる。
「シンプルだけど、なんかオシャレ」。
その答えが、天井にあることが多い。
「プロに任せる」というトラップ
「インテリアはよくわからないから、プロに任せます」。
その言葉の中に、一つ知っておいてほしいことがある。
インテリアを名乗る業者の半数以上は、施工の職人さんだ。
クロスを美しく、速く、正確に貼る。それが仕事だ。
インテリアの勉強をするより、施工の技術を磨く方が本業に直結する。
でも「インテリア専門店」を名乗ることはできる。
販売の資格があれば、名乗れるからだ。
そういった業者が悪いわけじゃない。
施工の腕は確かだ。
ただ、任された方は悪気なく、白無地を勧める。
白無地にしておけば「センスがない」と言われるリスクがない。
施工もシンプルで速い。
これが、日本中の家が白無地になっている理由だと思っている。
無地も柄物も、同じ単価だ
第3話でも触れたが、繰り返す。
国内メーカーのビニールクロスは、無地でも柄物でも基本的に同じ単価だ。
では、なぜ柄物を勧めないのか。
柄物は、施工が難しい。
柄を合わせながら貼らなければならない。
ズレるとクレームになる。施工のスピードも落ちる。
だから、勧めない。
お客様のためではなく、施工側のリスク管理として、白無地が選ばれている。
知らなければ、ずっと白無地の家に住み続ける。
知っていれば、選択肢が変わる。
喜んでもらうことを、餌として生きている
自分はインテリアの職人じゃない。
施工は協力業者にお願いしている。
自分の仕事は、その人の「好き」を引き出して、空間に落とし込むことだ。
だから、こう言っている。
「貼ってみて、派手だと感じたら。一回くらい貼り替えるから、やってみませんか」。
本気だ。
そのくらいの覚悟で、提案している。
お客様が「思い切ってよかった」と言う顔が見たい。
「こんな部屋になるとは思わなかった」と言う声が聞きたい。
喜んでもらうことを、餌として生きている。
だから、リスクはこちらが背負う。
自分に酔える空間で、暮らしてほしい
個性を取り入れた空間で過ごすことの話をしたい。
友達が遊びに来た。
部屋を見回して「オシャレ!」と言った。
その瞬間、自分が褒めてもらえた気になる。
「この部屋を選んだ自分」を、認めてもらえた気になる。
そして友達が帰った後、一人でいる時。
ふとした瞬間に思う。
「オシャレなとこに住んでるなあ」。
そっと、自分に酔う。
これが、人生を豊かにする自己満足だ。
誰かのためじゃない。自分のための空間。
その時間が、毎日の暮らしをほんの少しだけ豊かにする。
白無地の家に住み続ける理由は、もうない。
まず、一つだけ。
天井を見上げてほしい。
今の天井の色が、もし少しだけ濃かったら、部屋はどう変わるだろうか。
その想像ができたなら、相談に来てほしい。
自分に酔える空間を、一緒に作りましょう。
次回予告
第7話「新築2年で、カーテンがボロボロになった理由」
——量販店のオーダーカーテンに隠された、誰も教えてくれない話。
このブログでは、50年続くインテリア専門会社の代表が「好きを引き出すインテリア」の全てを公開していきます。
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