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父は何も教えてくれなかった——それがサロンテリア大林の50年だった|暮らしの自己満足⑧

——暮らしの自己満足 第8話


祖父は、いろいろな事業をやった。

そしてことごとく、失敗した。

父が思春期の頃、家の中では親戚同士が土地の権利書を巡ってもめていた。
子どもながらに、空気の重さがわかった。
この家は、貧乏なんだ、と。

それを見かねた父が動いた。


目次

輸入カーペットを積んだ車で、行商を始めた

父は高校を卒業してすぐ、親戚から仕入れた輸入カーペットを車に積んだ。
そして、一人で売り歩き始めた。

これがサロンテリア大林の前身だ。

その後、時代が動いた。

建築ラッシュが始まり、田舎でも各村に2、3軒の新築が建つ時代になった。
カーテンという文化が、日本に入ってきた。
祖父が剣道着の縫製工場をやっていたので、その設備でカーテンを縫い始めた。

大工さんと仲良くなった。
壁紙が日本に入ってきたタイミングで、壁紙を始めた。
日本の建築様式が洋風に変わっていく中で、インテリアという市場が大きくなっていった。

時代の波に乗りながら、事業を広げてきた。
それがサロンテリア大林の50年だ。


平成9年、市場が激減した

山があれば、谷がある。

平成9年を境に、市場が急激に縮んだ。
リストラをしながら、会社を小さくしていった。

そこに、自分が帰ってきた。22歳だった。

父から事業を承継したのは、27歳の時だ。
でも、父は何も教えてくれなかった。

仕事のやり方も、お客様との関係も、業者との付き合いも。
何も言わなかった。

「なぜ教えてくれないのか」と思っていた。

ずっと後になって、父が言った。

「お前は俺の話聞かんから、俺が引いただけだ」。

教えなかったんじゃない。
自分が聞いていなかっただけだ。

その言葉が、刺さった。

父の話は、聞けていなかったかもしれない。
でも、お客様の声は聞いてきた。
それだけは、自信を持って言える。

人力車の上で始まった「聞く力」が、この仕事の全部だ。


父が積んできた信頼の上に、立っている

父が50年かけて積み上げてきたものがある。

地域の信頼だ。

「大林さんに頼めば間違いない」。
そう思ってくださるお客様が、今のサロンテリア大林を支えている。

自分が承継してから今まで、何とか続けてこられたのは、父が地道に積んできた信頼があったからだ。

その上に、自分なりのものを積み重ねてきた。

人力車で鍛えた「聞く力」。
四国八十八ヶ所の巡礼で学んだ、人の話に寄り添うこと。
キャリア教育で10,000人以上の中高生に問いかけ続けた経験。

全部が、インテリアの仕事に生きている。


できることは、全部やる

自分の願いは、ただ一つだ。

その方の人生を豊かにしたい。

そのためにできることは、全部やる。

アウトドアショップも、その一環だ。
コーヒーも、スープカレーも、その一環だ。
AIコンサルティングも、キャリア教育も、全部つながっている。

根っこにあるのは、いつも同じことだ。

聞いて、肯定して、形にする。

インテリアは、その人の暮らしに直接触れる仕事だ。
どんな空間で眠り、どんな空間で目覚め、どんな空間で過ごすか。
それを一緒に考えることができる、この仕事が好きだ。

父が作った土台の上で、自分らしいやり方で続けていく。


まず、一つだけ。
「インテリアの相談をしたことがない」という方に、聞いてほしい。

相談は、決めてからするものじゃない。
「なんとなく気になっている」くらいで十分だ。

その「なんとなく」を聞くことから、全部が始まる。


次回予告
第9話「そんな豊かな時間を、販売しています」
——人を幸せにすることはできない。でも、豊かな時間を増やすことはできる。シリーズ最終話。


このブログでは、50年続くインテリア専門会社の代表が「好きを引き出すインテリア」の全てを公開していきます。
「暮らしの自己満足」が気になる方は、ぜひ続きも読んでみてください。



暮らしの自己満足 シリーズ一覧

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この記事を書いた人

SATORY / SATORY's CAFE オーナー。株式会社サロンテリア大林 代表取締役。1980年丹波篠山市生まれ。19歳から人力車で身につけた「聞く力」を軸に、創業50年のインテリア事業、アウトドアショップ、AIを活用したスープカレー開発、15年間で10,000人以上へのキャリア教育を展開。コーヒーは100軒以上の店を巡った「趣味コーヒー」派。

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