積算に何時間も使っていた工務店が、AIでだいぶ楽になった話

工務店の見積もり作業を象徴する図面とノートの静かなフラットレイ

丹波篠山・SATORY’s CAFE(二階町17)に関する記事です。店舗情報メニューよくある質問はこちら。

ある日、知り合いの工務店の社長と話す機会がありました。

地元で30年以上やっている会社です。腕もいい、評判もいい。社長自身が現場に出て、お客様と直接向き合って仕事をしている。そういう会社です。

話していると、ふとため息をつかれました。

「見積もりに毎回、半日近く取られるんですよね」

ため息の理由を聞くと、こんな話でした。

お客様から「外壁の塗装をお願いしたい」と連絡が来る。現場に行って状態を確認する。帰ってきて、材料の単価を調べる。数量を計算する。計算式をExcelに入力する。見積書の体裁を整える。最後にPDFにして送る。

「これが1件ごとに何時間もかかるんです。多い月は10件近くあって、見積もりを作るだけで月に何十時間も消えていく」

何十時間。月に数日分の作業時間が、見積書を作るだけで消えていく。

「でも、これはずっとそういうものだと思っていて」と社長は言いました。「うちみたいな会社は、そういうもんだと」


その「そういうもんだと思っていた」が、少しずつ変わり始めています。

同じような業種の会社で、AIを使って見積書作りの時間を大幅に短くしているところが出てきました。同じ件数を、もとの3分の1以下の時間で済ませている例もあります。

何か特別なシステムを入れたわけじゃありません。使ったのは、ChatGPTと、もともと持っていたGoogleスプレッドシート。月に何万円もかかるものではない。

仕組みはシンプルです。

現場でスマホのメモに「外壁面積・約60㎡、ひび割れあり、塗料は遮熱系で」と書く。事務所に戻ったら、そのメモをChatGPTに貼り付けて「見積書に必要な項目を整理して」と頼む。出てきたリストをスプレッドシートの単価マスタと突合せる。PDF出力するのは数分の作業。

「最初は半信半疑でした」とその会社の担当者は言っていました。「でも試してみたら、一番時間がかかっていた”どこから書き始めればいいか”の迷いが、なくなったんです」


「どこから書き始めるかの迷い」——この感覚、わかります。

見積書を作るとき、実は材料の計算より「整理」に時間がかかっていることが多い。「何を書いて、何を省くか」「この表現は分かりやすいか」「抜けている項目はないか」という迷いに、時間が溶けていく。

AIは、その「迷いの仕事」を肩代わりするのが得意です。

「あの件の見積書を作ってほしい」という指示を、現場でメモした情報と一緒に渡せば、骨格を出してくれる。その骨格を自分で確認して、数字を修正して、最終的な判断だけ自分でする。

作業の「考える部分」と「書く部分」を分けると、こんなにも早くなるのか、というのが使い始めた方の共通の感想です。


もう少し正直に言うと、このシリーズは「AIを使いましょう」という話を書くつもりはありません。

「使う、使わない」は、それぞれの会社の事情があります。必要ないならやらなくていい。

ただ、「うちには関係ない」と思っていた会社が「試してみたら、3時間が30分になった」というのは、もう一つの現実としてあります。

工務店の社長が「そういうもんだと思っていた」と言った話が、頭に残っています。

同じように「うちはずっとこのやり方でやってきたから」と思っている業務、あなたの会社にもありませんか。

それが「そういうもんじゃなかった」に変わるかもしれない。その話を、このシリーズでゆっくり見ていこうと思います。


このシリーズでは、地方中小企業の現場で実際に起きていること、これから起きるだろうということを、5話にわたって書いていきます。

技術の話ではなく、「経営者の時間と仕事の豊かさ」の話として。

あなたの会社に、じわじわと豊かな時間が増えていきますように。


もし「うちの業務もAIで変えられるか、話を聞きたい」と思っていただけたなら、satory-life.com/ai-labo/ から声をかけてみてください。まず話を聞かせてください、それだけでも大丈夫です。


細見 勇人 / 兵庫県丹波篠山市にて

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この記事を書いた人

SATORY / SATORY's CAFE オーナー。株式会社サロンテリア大林 代表取締役。1980年丹波篠山市生まれ。19歳から人力車で身につけた「聞く力」を軸に、創業50年のインテリア事業、アウトドアショップ、AIを活用したスープカレー開発、15年間で10,000人以上へのキャリア教育を展開。コーヒーは100軒以上の店を巡った「趣味コーヒー」派。

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